お大師様のことば(五十五)
大正大学名誉教授・種智院大学客員教授
智山専修学院長・東京成就院長老
福田 亮成
三・一一の東日本地震による大津波の光景は、現在ただ今の地獄の恐ろしさを連想させるものでありました。地獄の有り様は架空なものでなく、現実社会にはもっと恐ろしい現象が展開しているのです。原発事故は、いまだに収拾されることなく、まったく改善の余地も見い出せないでいますが、これこそ地獄でなくてなんでしょう。
この言葉は、前世において多くの善行を行じたからこそ、今、人間としての生をうけているのであります。よってこの生涯のうちに善行を行わなければ、再び地獄に転落してしまう、と。実に人間というもののきわどさをいったものでありましょう。
悪い行為をすれば、必ず地獄に墜ちる、という人間が生きることの基本的なタガが
お大師さまは、『十住心論』の第一住心におきまして「
六大新報 第四三一九号 掲載