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お大師様のことば(三十四)
大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成
この一文は、「沙門勝道山水を歴て玄珠を瑩く碑」にあるものです。お大師さまは、伊博士公という人物から日光山を開山された勝道上人(七三五~八一七)について資料を提供され、日光の二荒山(補陀洛山)開山の記録を草することを依頼され、その懇請を断りきれず執筆されたものであります。この文は、記録の少ない勝道という人物の第一級の資料ともなっております。文中に「余と道公(勝道)と生年より相見ず」とありますから、直接にお会いすることがなかったようであります。さらに、この文は弘仁五年(八一四)八月三十日の年号がありますから、お大師さま四十一歳の時であります。勝道上人は弘仁八年(八一七)に入滅されておりますので、勝道上人の存命中に草されたものですから、あるいは、勝道上人は、この文を直接にお読みになっていたかもしれません。
勝道上人は日光山を、お大師さまは高野山を各々に開山されました。この文章は勝道上人の顕彰の為の文章でありつつ、お大師さまご自身の心が、大いに共感するものがあったに違いありません。
掲げました文章は、平易であり説明を必要としませんが、「心境冥会」とは心とその環境、それが家族や、社会、そして自然現象が一つになる。即ち、心が
現代の日本社会のありようを思います。
六大新報 第四二六五号 掲載