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お大師様のことば(三十一)
大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成
この言葉は、お大師さまが仏教への転心のきっかけとなった事実を云ったものです。十五歳で母方の伯父の阿刀大足にしたがい本格的な勉強を始め、十八歳で大学に入り、猛勉強をしたことを述べて、この言葉があります。
『三教指帰』には、延暦十六年(七九七)十二月の記があり、お大師さまは二十四歳の時に出家宣言書を執筆したことになります。
十五歳で本格的な勉強を始め、十八歳で大学に入学し、二十四歳で出家宣言をする間、およそ十年間ですが、仏教に転心したのは、いったい何歳の時であったでしょう。おそらく大学に入学したのが十八歳ですから、十五歳からの勉強の日々を加えれば、約六年となりましょう。するとどうしてもお大師さまは大学を中途退学されたことになります。その後は、四国の地を中心として厳しい修行に明け暮れていたに違いありません。
さて、ここに“
六大新報 第四二五七号 掲載