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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(二十八)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成



 お大師さまは、そのご生涯の内に二つの大きな困難に遭遇そうぐうされたようであります。その一つは、入唐時における聖教の書写と収集であり、もう一つは、晩年の高野山金剛峯寺の開創についてであろうと愚考いたすものです。ここで取り上げましたのは、前者についてであります。

 この文は、「越州の節度使に与えて内外の経書を求むる啓」のそれです。“今見(現)に長安城の中において写し得る所の経論疏等凡そ三百余軸、及び大悲胎蔵・金剛界等の大曼荼羅の尊容、力を竭くし財を凅くして趁め逐って図画せり”の後に続くものであります。そして、それらの全成果は大同元年(八〇六)十月二十二日に朝廷に奏進されました『御請来目録』に見ることができます。

 お大師さま、それに傅教大師最澄さまを加えて八人の僧が入唐に成功され、各々に「請来の目録」を朝廷に奏進されております。後に天台僧の五大院安然(八四一~?)が、それら八人の方々の請来目録をまとめられて『八家秘録』なる書物をまとめられており、一覧するのに大変に便利となっておりますが、なかでもお大師さまの請来の充実ぶりには瞠目するのみであります。このような充実ぶりの裏側に、人を雇うこともできず、寝食を忘れて書写に精進されておられるお大師さまのお姿を、有難く尊いものと思わずにはおられません。友人の橘逸勢たちばなはやなりについての文にも“日月荏苒じんぜん(むなしく過ぎ去って)として資生(学資金)すべて尽きぬ。この国の給う所の衣糧僅かにもって命を続ぐ。束修(先生への謝礼金)読書の用に足らず”と、その窮状を述べておりますが、それはまったくお大師さまも同じだったにちがいありません。



六大新報 第四二四九号 掲載



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