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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(二十六)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

 素晴すばらしいことをするのも人間、悪いことをするのも人間であります。宗教とは、特に人間に素晴らしいことの行為を奨励しょうれいするものであります。しかし、世間には、宗教の名のもとに悪を行為することがまったくないわけではありません。

 普通、道徳や理性というものは、宗教とはその領域を異にするものであるとされますが、実際の生活の場では、理性も道徳も、時と場所によりましては、そのはたらきが往々にして混乱することがあります。先の世界大戦の時に、宗教が戦争の正当化に転用されてしまったという事実を想起されるでありましょう。

 お大師さまのお考えは、本来成仏というお立場から積極的に理性、道徳の領域に立ち入り、確乎とした見識を確立することでありました。

 さて、「経」はスータラの漢訳であり契経とも云われます。そして、経とはたて糸のこと、即ちここにいう「線」と同じ意味でありましょう。仏教の経とは、釈尊の言葉、聖者、賢人の言葉をまとめて経と称したのであります。その線によって花をつらぬきおけば、その花はばらばらにならない道理、教えの線によって人びとの持っている花を貫けば地獄にすることがない、みだれ落ちることはないというのであります。

 文中に、人天の花とあります。これは何でありましょう。人間誰でもが必ず有している花=仏性を、教えのたて糸(=線)で貫くことによって、世俗に生きる、その生き方に乱れを無くし安定した生活をおくるということに違いありません。

 相待的な世俗の世界におきまして、理性・道徳の混乱は、教えの線を心を貫くということでさけられましょう。

六大新報 第四二四四号 掲載



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