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お大師様のことば(二十三)
大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成
ここにいう「先師」とは、恵果阿闍梨のことであります。お大師さまにとりまして、恵果阿闍梨の存在はまったく圧倒的であるといって過言ではありません。恵果阿闍梨は、残念ながら私達に著述を残しておりませんが、お大師さまの文章の中に、数ヶ処にわたって、恵果阿闍梨のお言葉を記録されておられます。ここに揚げましたものは、その一つであります。
ごらんのように、一見して『般若心経』の“色即是空、空即是色”の句を連想されるにちがいありません。「色」とは、すべての形ある存在であります。その形あるものの存在の中にこそ実のごとくに空が開示されております。即ち、「孕む」とは、胎内に子を宿すこと、植物の穂が出ようとしてふくらむこと、中に含んで持つ、という意味があります。よって、すべての形ある存在には、空なることの実相が内包されているわけであります。「即」を「孕む」といったにちがいありません。同じように「呑む」とは、飲むと同じで飲み込む、という意味があります。いうならば「仏」とは、空という真実なるものを飲み込んでいるありかただということでありましょう。ここでも「呑む」とは「即」にちがいありません。実に、仏とは、空をせおって色身をもって、この世に現れ出たものでありましょう。
色即空、空即仏ということであれば、色も空も、それは仏の内証の中に溶解しているものでありましょう。
この文につづいて「仏の三密、
六大新報 第四二三六号 掲載