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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(二十二)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

 私達はややもすると現存の自己自身を正真正銘の自己自身と思っていないでしょうか。それはとんでもない誤解といわざるをえません。

 現在、ただ今、特に社会的な地位が高く、財を築いていい気になっている貴方、それを自分の努力によって得たものであると確信している貴方、そのような意識は、ただ周囲に傲慢ごうまんさをまきちらしているのみで、そこには本当の自己自身の真実はみあたりません。

 私には、こんな失敗があります。僧侶とは真面目でなければならず、生活を律して仏教の真実を探求していくことが本務である、と。これは師僧からの厳命であり、私の信条としているところでありました。

 ある時、ある先輩から、君の真面目さは、他の人に悪臭となって匂っている、と揶揄やゆされてしまいました。確かに私と同じ立場と、同じ目的をもって勉強している仲間の中には、まったく私の信条とあい反する人がいて、彼を批判をすることがありましたが、それが第三者に、私の悪臭ととらえられていたということは、強いショックでありました。

 むろん、僧侶たるもの真面目で、真摯しんしに仏法を求めて生きるということは否定されるものではありませんが、あるいは私の意識の中に高慢さが匂っていたのかも知れません。

 確かに、このようなことは、日常意識の表面に立ちあらわれ出たもので、私達が現存の自己自身のあり方を、本当の自分だと錯覚している限り、もう一枚深いところにある本当の自己自身をみつけることは不可能でありましょう。

 現存のもう一つ深いところの心の底からみつめる自分を確立する。それが仏教の眼目であるはずです。

六大新報 第四二三四号 掲載



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