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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(二十一)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

 これは、「大夫笠左衛佐たいふかさのさえのすけ亡室ぼうしつの為に大日の楨像ちょうぞうを造る願文」の末尾をかざる一文であります。
楨像ちょうぞう」とは、絹をわくに張りのべたものに仏像を描いたもので、文中には「大日一印の曼荼羅一鋪五幅」と、具体的に示しております。時は、天長四年(八二七)五月廿二日、場所は神護寺であることがわかります。お大師さま実に五十四歳のことでありました。

 さて、文章全体についてはともかくとしまして、末尾をかざる文についての解説を試みたいと思います。「五大」とは、地水火風空のこと。「一心」とは、識のはたらく世界、それらの所造、所遍というのですから、六大即ち身と識の世界でありましょう。即ち、生命全体であるにちがいありません。次の
鱗角羽毛りんかくうぼう」ですが、他に「牙剣角矛羽裳鱗衣がげんかくほううしょうりんえ」とありますので、牙あるもの、角あるもの、羽あるもの、鱗あるもの、とありますように、この地球上に生息するすべての生類をあげているということができます。このようなあげかたは、他に「十方の衆生しゅじょう」、即ち東西南北、四隅、上下の有情のことであり、「四生」、たいらんじつ生の生類。「夢郷の幻士、影県の編戸」、即ち、夢郷、影県は、夢のごとく、影のごとき迷いの世界であり、幻士げんし編戸へんととは庶民のことでありましょう。

 一つの供養の席において生じます功徳は、当の精霊に向けられるべきものでありますが、お大師さまの意図することは、それが生きとし生けるものすべてにわたるものであることが祈誓されていることは、重要なことでありましょう。

 お大師さまの生命観の広大な拡がりを思うと共に「一切衆生悉有仏性」のことあらためて思うものです。

六大新報 第四二三一号 掲載



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