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お大師様のことば(十五)
大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成
仏教とは何か、この重要な質問には、際限のないほどの答えが用意されていると思います。お大師さまは、このようにお答えになられました。即ち、端的に自利・利他の二利に尽きると。この言葉には、さらに「空しく常楽を願うも得ず。従うに抜苦を計れどもまた難し」と。注意を
さて、ここに福智とは、福徳と智慧のことであります。それを兼ねて修することにつきまして、『理趣経開題』の一つに、次のようにあります。
「もし、善男善女ありて、生死の苦根を断じ、菩提の妙楽にいたらんと欲せば、まず福智の因を積んで、しかるのち無上の果を感致せよ。福智の因というは、妙経を書写し、深義を
実に明解であります。妙経を書写し、深義を講思する。あるいは、布施・持戒等の
私達はこのような事をいって聖なる領域に逃げこむのではなく、今を生きている俗なる世間の他に、私達の努力の場はないのだと強く思うべきなのであります。
六大新報 第四二一六号 掲載