諸の弟子らに語(つ)ぐ。
およそ出家修道はもと仏果を期す。
あにいわんや人間(じんかん)少々の果をや。

入会規約はこちら (PDF: 87KB)

【PDF: 94KB】

お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(百・完)

大正大学名誉教授・種智院大学客員教授
東京成就院長老

福田 亮成

 さらに、“其の道を弘めんとおもはば 必ずすべからく其の人に飯すべし”とも云っております。現代社会におきまして教育の無料化が叫ばれておりますが、お大師さまは今から一千二百年も前に大きな理想を掲げまして「綜藝種智院式」を発表されました。まさしく教育の無料化ということであります。そして、このような主張は、大変高邁(こうまい)な次の言葉に裏打ちされていました。”物の荒廃は必ず人による人の昇沈は定んで道にあり”と。ここにいう物を社会という言葉に置きかえてみると、よく理解できるのではないでしょうか。道とは仏教の教えと、その実践であることは、むろんのことであります。さらに、この国には一つの国立大学のみあって、他に教育をする場がなく、即ち一般庶民の子弟のための学校がなく、遠方に住む学問をしようとする人びとは、往来に疲れてしまう有様であることから綜藝種智院の創建を願うことがあったといっています。さらに、ここでの教育は、僧侶は仏典のみの勉強にふけり、秀才の若者は仏教以外の学問にかたより、双方の交流が全く無いという有様であり、各々に教えることに能力のある先生を招聘して教育にあたらせる、という構想であり、仏教に基づく綜合大学が意図されていたことは注目されなければなりません。
 さらに、“その道を弘めんと欲はば、必ず須らくその人に飯すべし。若しは道、若しは俗、或は師、或は資、学道に心有らん者には、並に皆給すべし”とあります。弟子の養成については各宗の祖師方が心血をそそいだことであり、お大師さまもそうでありましょう。しかし、当時において教育の場を世間に開放しようとした意図はお大師さまのみのものでありました。

六大新報 第四四三五号 掲載

≪ 一覧へ戻る

HOME | お知らせ | 活動内容 | 法人概要 | お問い合せ | お大師様のことば | 水面の月 | 祈りの風景 | イベント情報 | ブログ「SHOJIN」 | 入会申込書(PDF)