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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(九)

大正大学名誉教授
文学博士・東京成就院住職
福田 亮成

 これは、お大師さまが二十年間にわたります留学を切り上げ早く帰国することを希望された「本国の使と共に帰らんと請う啓」の中の一文であります。きめられておりました二十年留学のこと一年にかねて、密教(三密の印)を一心によく体得することができました。明月の光り輝くような宝珠(密教)、早く天皇の勅命に答えたいのであります。「久しく他郷(中国)に客たりとも、頸(くび)を皇華に引かん(首を長くして遣唐使船の来るのを待っていたならば)、白駒(はっく)(歳月)過ぎ易く黄髪いかんがせん」との思いから、遣唐使高階真人遠成に提出された文章でありました。文中の「この法」とは、むろん恵果阿闍梨より授かりました密教の法でありましょう。お大師さまが中国密教として展開しておりました法について、おそらく初めて述べたものであります。

 仏教とは、本来、凡を脱れ聖に入るというごとき個としての人間が内面の煩悩と対峙(たいじ)し、やがてそれを克服して聖人(覚者)となるということが主題であったはずです。大乗仏教が中国の高い文化の土壌に定着するためには、もまれにもまれ中国的な展開がなされなければなりませんでした。

 特に唐代の仏教は、玄宗皇帝の守護のもとに不空三蔵(七〇五―七七四)の活躍によりまして密教が大いに隆盛をむかえることになりました。お大師さまは、ご自分の相承された法をば「仏の心、国の鎮(しづめ)なり。氛(ふん)(わざわい)を攘(はら)い、祉(さいわ)いを招くの摩尼(まに)」と表現されましたが、弘仁元年(八一〇)三十七歳の時の文章にも、授けられました法は、「七難を摧滅(さいめつ)し、四時を調和し、国を護り、家を護り、己を安んじ、他を安んず」であると述べておられます。

六大新報 第四二〇〇号 掲載



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