お大師様のことば(七十五)
大正大学名誉教授・種智院大学客員教授
東京成就院長老
福田 亮成
この文は、お大師さまが開創しようとなさる高野山の佇まいを述べたものであります。龍の臥する、虎の
空地一処、伊都郡以南深山の中に在り。高野と曰う。四至、四方の高山あり。…四至とは東は丹生の川上を限り、南は
と記しております。現在の高野山の佇まいを、山陰先生の『中世の高野山を歩く』から引用しますと。
高野山は標高一〇〇〇㍍前後の峰々と、それらに囲まれた標高八二〇㍍ほどの盆地状の平坦地の総称である。平坦地は東西四㌔、南北二・三㌔の広がりを持ち、その中央部を南から東に御殿川が貫流する。西部に壇場伽藍、東部に奥之院があり、壇場伽藍・奥之院を除く平坦地には、高野
さて、お大師さまは、高野山を
今、禅経(ぜんきょう)の説に
また高野山を八葉の蓮台とも表現いたしますが、四方を山々に囲まれた平地で瞑想をこらす人びとが雲集するさまは、お大師さまの願いであり、そしてそれは現在の高野山の願いでもありましょう。
六大新報 第四三七一号 掲載