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お大師様のことば お大師様のことば

お大師様のことば(四十四)

大正大学名誉教授・種智院大学客員教授
文学博士・東京成就院長老
福田 亮成



 宗教という言葉も、密教という言葉と共に、その指し示す領域は極めて広大であります。宗教という言葉は、英語のレリヂョンの訳語で、本来の意味はキリスト教にもとづく、人類と神との再結合というような意味でありましたが、現在、宗教と云った場合、あらゆる宗教、いや仏教をも含む全体それらを表現しているものであり、宗教を標榜する仏教は本来そこには関わることがないはずです。

 密教という言葉も、ある意味で実に野放図に使われることが多いのであります。仏教の発達史から云うならば、大乗仏教をうけて六、七世紀頃より密教の傾向が強まり、『大日経』や『金剛頂経』が成立し、やがて中国に伝来され、お大師さまの入唐によって日本仏教の中にもたらされることになり、お大師さまにより密教というものの体系が構築されることになりました。

 お大師さまは『二教論』におきまして、「法身内証智の境を説きたもうを名づけて秘密という」と、さらに上に掲げました言葉と共に云いますと、法身大日如来の自の内証の智慧の世界が密教というわけであります。そして、その世界とは「顕教所談の言断心滅の境とは、いわゆる法身毘盧遮那内証智の境界なり」とありますように、顕教におきまして言語で説き明かすことができなく、心行が減してとどかないところ、それが密教の内実というわけであり、その点で顕教と密教とは表現の仕方が相違しているとはいえ、同一の世界、仏のさとりの世界をめざしていることは相違のないところであります。

 密教という言葉を使う場合、この事を了解しておくことが大切です。そして密教という教えが土俗的なものまでまきこんで展開していった事を考えるべきでしょう。



六大新報 第四二九一号 掲載



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